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(人も車もめちゃこわ……てか遅いヒヨコ全然進まない。足速く動くのに人が歩くより遅いとか鬼畜。  泣きたいのに涙出ないし、叫びたいのに声小さいし……でも羽あったかい)  家から十分程にある公園へ辿り着くと道路脇の茂みで一休み。ヒヨコ目線では、まるで森。 (あと少し。とりあえず誰か帰って来た時にーー)  すると近くに視線を感じ、振り向くと獣と目が合う。 (えっトラ……違う猫だ! 何かやばい感じ?)  猫はジッと首を低く保つ。希子は葉が擦れる音を出して茂みの中へ後退するが、そこで猫の手はスッと伸びて頭を掠めた。 (うわぁやだー! マジで死んじゃうやだやだっ!)  一目散に茂みを抜けて逃げ出すも追いかけられ (ヤバイヤバイヤバイ! ねこヤバいっ……!)  必死に駆け回ると、猫も合わせて駆け回り……とうとう希子の体はバシンッ! と抑えられてしまい、柔く爪が食い込んだ。 (痛っ……嘘でしょ、ヒヨコで終わるのやだぁ)  視界では徐々に大きさを増すピンクの鼻先。 (ううんダメ、負けるな私! くそ、ヒヨコだからって舐めるなよ猫。こんなとこで死ねない。早見君とまだデートしてないもんっ!)
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