プロローグ

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プロローグ

その連絡は、突然届いた。 『いい感性を持った生徒がいる。 是非、その演奏を聴きにきてほしい』 時折り、忘れた頃にふらっと届くLINEでの連絡。 用のある時しか連絡はこない。 この前、連絡が来たのは… LINEをみると、なんと1年半前。 進学する生徒がいるから、ピアノの先生を紹介して欲しい、というものだった。 「俺って、ただの都合のいい男なんだろうな」 もう一度、彼女から届いたLINEを見直す。 都合がいいだけマシか… 利用価値すらなければ連絡は途絶え、音信不通になってもおかしくないだろう。 細い線を辿るように、なんとかまだ俺たちは繋がっている。 『分かった。ホールで演奏する日程を教えて』 そう返信しながら、その生徒の演奏を聴くまでは、彼女とのやり取りが続けられる時と安心している自分に気付く。 男って、馬鹿だよなぁ… いや、俺が馬鹿なだけなのか… しかし、このLINEが俺たちの関係性を大きく変えるものになるとは、この時は思いもよらなかった。
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