たからもの

墨鵺 銀麟さん 🌸「光る川面」

「もし、あなたが。」

ねぇ、もし、わたしが
小川を漂う、花びらでなかったら。
わたしは、ずっと
あなたの傍に、いられましたか。
あなたと、ずっと
水に揺られて、ふわふわと。
緑の草で、いられましたか。

ねぇ、もし、あなたが
水の底に根を下ろす、緑の草でなかったら。
あなたは、ずっと
わたしの傍に、いてくれましたか。
共に流れて、川の中。
花びらは、流れゆく。
どこまでも、どこまでも。
ずっと一緒に、いられましたか。

ねぇ、もし。
もし、わたしが。
もし、あなたが。

ただ水は、流れゆく。
ただ時は、流れゆく。

さよならは、言わず
いつか、また会えたらと
叶わぬ、夢を見て。

わたしは、流れ
あなたは、揺られ

想いは静かに
光に溶ける。

ねぇ、もし。
もし、わたしが。
もし、あなたが。