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「巴見て見て!!あんたの部活を撮影したものをTikTakにアップしたの!!そしたらほら!!!30.0Kもいいね付いたんだよ!!!」
サヤカが興奮気味に私に動画を見せる。そこにはなぎなたの演技競技をしている私の姿が15秒ほどの短い動画で映っていた。
「コメントにこれぞ日本のやまとなでしこ!!とか美しいとか書いてあるよ!!!外国人からもコメント来てる!!いやーさすが巴だよね〜」
「私、演技の方は苦手だからあんまり観られたくないんだけど〜。」
「えー、それでもこの前のインターハイで入賞してたじゃん!!」
高校生のなぎなた競技は、演技と武道のふたつに分かれる。私はバリバリの武道だから、あまり演技では振るわない。
「この人たちはみんな、巴の演技とかじゃなくて巴の顔を見てるからいいの〜」
「いや、それはそれで複雑かも……。」
演技は苦手だと言っても、やっぱり自分の顔よりはその型の美しさを見てほしいよね。
「あっ!!!ねぇ巴!!!!今有名TikTakerのマサトからDMでこの子に会わせてくれませんか?って来た!!!すごいね巴〜。私の顔乗せても良くて500くらいしかいいね来ないのに巴載せると一気に10.0Kいいね以上行くんだもん。やっぱり私もなぎなたしとけば良かったかな。」
ミーハーなサヤカがマサトという有名TikTakerを見せてくれる。韓流系の今どきモテるんだろうなってタイプ。まぁ私にはよくその良さがわからない。
「巴〜。一緒に会いに行こ〜。」
「やだぁ。この人私のタイプじゃないしなぁ。」
「えー冷たいー!!イケメンに会いに行こうよー!!そこから恋とか生まれちゃったりして!!!」
「そんな恋なんて望んでないし!それに、私今部活と勉強に必死で恋愛とか考えられない。」
バッサリと切るとサヤカはしゅんとした。
でも実際、恋愛とかする余裕が無い。私は毎日部活で忙しいのだ。
そうこうしているうちに学校に着いた。久々に見たクラスメイトは、変わらない人も焼けた人も様々だ。
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