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遠くでチャイムが鳴り響く。担任の先生が、「残りの夏休みも、羽目を外しすぎないように」と一言告げ、教室を出た瞬間、クラスメイトたちがざわめき立つ。
「巴〜!今日部活ある?」
サヤカがキラキラした目で私を誘う。
「今日はないよーん!」
「じゃあ今日原宿寄ってかない?今めっちゃ気になってる店あるんだ〜」
ニコニコと笑うサヤカ。ミーハーなサヤカだ。どうせド派手な店に連れてかれるんだろう。
「君が巴ちゃん?えっ、めっちゃ美人じゃん!!!」
「…ドーモ。」
ミーハーなサヤカは隣で目をハートにしながら、目の前のマサトを見ている。
「ごめんね巴。うちのためだと思って!!」
そう告げられたのが先程。そして今、私の目の前には有名TikTakerマサトがいる。
「うーん、帰る。」
「ちょっ!?巴ちゃん!?!?」
「巴!?!?」
サヤカには申し訳ないが、この男に対して興味は全くない。それに、サヤカが気になる男なのだから、私というキッカケで会えたのならば、早めに去った方が良い。
「せっかくだし、ここのカフェ寄ってかない?」
「そうだよ巴!!久々の休みなんでしょ?華のJKエンジョイしようよ〜!」
グイグイと私の制服を引っ張るサヤカ。もうここは諦めるか。ぐったりしながら渋々受け入れようとした時
『見つけた。』
鈴の音のような声が聞こえた。
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