開花病

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 私は、ある日難病になった、病名[開花病] 今の医学では、治せない難病の一つとされている、完治は…難しい。 症状は、[体中に色とりどりの花が咲く]と言うもの。  私は、椎谷鳴海[シイヤナルミ]二十五歳、近所の花屋で働いている。 「いらっしゃいませ!」と街中を通る人に毎日声をかけている。 ある朝、店長の絵里[エリ]さんに「ナーちゃん…その…丸い固まりどうしたの?」と言われ見るとまるで花の蕾の様な物が出来ていた。 「…なんだろ…」と私が返すと「なんともないの?」と店長は言った、「はい」とは私は答えた。 来る日来る日、だんだんそれは増えた。  そんなある日の朝、起きるとベットに花びらが数枚落ちているのに気が付いた、(ん?どこからか入って来たんだろ。)と思いつつ、いつもの様に出勤すると「ナーちゃん…その体…」と店長に言われ私は、店にあった鏡を見ると体いっぱいに花が咲いていた。 「ナーちゃん病院行って来なぁ」と言われ近くの病院へ急いで向かった。 少しして看護師さんが来て私に一言「ご家族様は…」と言われた、嫌な予感がした。 「いないです。一人で来ました。」と言うと「すぐにご連絡して来てもらってください」と言われ母に電話し一時間後に母が来て「あんなその体…」と言い暗い顔をした。 名前が呼ばれ私は母と共に診察室へ入ると先生は私を見るなり「シイヤさん…落ち着いて聞いてください、娘さんは…難病の一つ完治は現在の医療では難しいとされている、開花病です。」と言われた。 私は名前しか知らなかった。 「先生いつ治るんでしょうこれ」と聞くと「大体言われているのが…無限に咲く花で…治ることはまず無いと思ってください、薬も無いと思ってください。」と言われた。  それから数日後、私は花に全ての栄養、水分と言うあらゆるものを持っていかれ衰弱してしまった。 私は花になった。  あれから数年、時が流れた今、[開花病]の治療法が見つかった。 薬は、体に咲く花と同じ花の種を飲めばその花は自然に枯れていくと言う事がわかった、私にも試された。 そして私は、一週間程して元の体へと戻ったが…背中には、刺青の様に花の絵柄が沢山入っていた、見えない範囲だからまだ良かった。 私は病気になる原因を聞かれたが全く思い出せなかった。ただ、花屋で働いてると言う事しか覚えがない。 それからと言うもの私は二度と開花病になることはなかった。
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