1人が本棚に入れています
本棚に追加
「わ、わかりました。やります。木の実を集めます。」
「やってくれるか。」
「はいっっ。」
自分の声で目が覚めた。いまのは夢?夢にしてはあまりにもはっきりと覚えている。それに、木の実を集めて芽が出れば白い羽が生えてくるんだ。もし夢でもいいじゃないか。とにかく神様に言われたとおりにしてみよう。
ホシガラスは木の実を集めては山のあちこちに積上げたり、埋めたりしていった。時々、イワヒバリやライチョウにも会ったが、とにかくホシガラスは木の実を集めるのに必死だったので、不思議そうに見ている彼らに目もくれなかった。
ある時、山のくぼみの水のたまったところに水を飲みにいった。風もなく、青い空と白い雲が水にはっきりと映っている中、一羽の鳥の影が映っていた。その鳥は真黒ではなく身体に白い羽が星のように散らばっていた。最初、それが自分だとは思わなかったので、周りを見渡したが他に鳥などいなかった。
白い。黒いからだに白い色があちこちにある。
これは自分なのか。まるで夜空の星を体にまとっているようじゃないか。
ああ神様、ありがとうございます。
集めた木の実から芽がでたんですね。
それでホシガラスは今日もせっせと森を作るために種を運んでいるのです。
ホシガラスを見かけたら、白い星の数だけその山に木が増えて森ができた証拠なので彼の邪魔をしないように静かにそっと見守ってやってくださいね。
最初のコメントを投稿しよう!