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「そういえば、センソウって危ない事するんだよね。あの子もするのかな? 怪我とかしなきゃいいな」
そんなことを考えていると牢屋に魔王様がやってきた。
「捕らわれの身で敵の心配をするとは、呑気な人間じゃのう」
「あ、魔王様だ。ねぇ、僕お腹すいちゃったけど、何か食べるもの持ってないかな」
「飴ならもっておるぞ」
「わーい、ありがとう。あむ……甘くておいしいね。くうふくは最高の調味料だって聞いたけど、本当だ!」
「うむ、そうじゃな」
魔王様がくれた飴を口の中で転がしながらそんな風に話をしていると、ギューブさんが何だか変な顔になってる。苦い物を間違えて食べちゃった時みたいな顔だ。
「魔王様、勝手に人間に餌を与えられては困ります」
「はっ、童としたことがつい」
牢屋に入れるって言った時は、ちょっとだけ意地悪そうで背伸びした感じの子だなって思ってたけど、食べ物をくれたし魔王様ってとっても良い人みたいだ。
「コホン、童は魔王じゃ、なめた真似をすると貴様の首をはねるぞ」
「ねぇねぇ、気になってたけど、魔王様って魔王っていう名前なの?」
「そんなわけなかろう。童にはれっきとした、父上と母上から頂いたアイリスという名前があるのじゃ」
「アイリスちゃんかー、可愛い名前だね!」
「そ、そうか?」
「僕の名前は望だよ、よろしくね! アイリスちゃん!」
「ノゾミ、望みか……。う、うむ。お主の名前もなかなか良いな」
魔王様の名前はアイリスちゃんって言うみたいだ。
どんな漢字で書くんだろう。
昔と違って最近はキラキラネームっていう変わった名前が増えたって聞くから、名前を聞いただけじゃどう字を書くのか分からないってお母さんが言ってた。
あれ、でも日本じゃない外国だったらカクカクした漢字で書かなくてもいいんだっけ。だったら、困らないね。
「コホン、また何を慣れ合っていらっしゃるので? 魔王様……」
「はっ、しまった。またやってしもうた。ええい、人間め。ペースに乗せられてたまるか」
ギューブさんがなにやら再び苦い感じの顔になっていると、アイリスちゃんは真っ赤になてこっちを睨みつけてきた。
何か怒らせる様な事しちゃったかな。どうしたんだろう。
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