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「知っておるだろうが、童たち魔人勢力は人間と戦争をしておる。だが、なかなかこれがしぶとくてな。一朝一夕では倒せない。そこでだ。敵を倒すにはまず敵を知らねばならぬ。そう思って、お主を生かしてやることに決めたのじゃ。人間と魔人は言語が違う故会話すら成り立たぬので、お主は飛んで火にいる貴重なさんぷるという奴なのじゃ。ありがたく思うのじゃ」
ほえー。
アイリスちゃんって物知りだなあ。
イッチョウイッセキとか飛んで火にいるとか、難しい言葉たくさん知ってるんだ。
でもそっか、外国とか遠くに住んでる人とかは言葉が違うから大変だって聞いた事があるから、知りたいって思って会話したくてもできないよね。
じゃあ、僕が人間の事色々教えてあげなくちゃ。
「童のこの寛大な処置を有難く思うが良い」
「うん、ありがとう。僕もアイリスちゃんのこと色々知りたいな」
本当に嬉しいなー。
アイリスちゃんが良い人で良かった。
だけど頭を下げてお礼を言うと、何でかそのアイリスちゃんはあたふた。
「あ、アイリスちゃんではない、魔王様と呼べ!」
「えー」
せっかく可愛い名前があるのに、アイリスちゃん……じゃなくて魔王様は嫌みたいだ。
残念だったけど、しょうがない。
人が嫌がってることはしちゃ駄目だしね。
「最低限の飯の世話もしてやるし寝床も用意してやる、しかしただで置いてやるほど童は甘くはないのだ、……じゃなくて、なのじゃ! ノゾミ。お前、お主には明日からポチの餌……じゃなくて餌係じゃ! しっかり励むのだぞ」
噛みながらも声を大きくして明日からの事を教えてくれた魔王様に、僕も出来る限り、元気よく返事をする。
「うん、分かったよ。僕、頑張るね!」
魔王様はなんていい人なんだろう。見ず知らずでいきなりやってきた僕にご飯を食べさせて眠る場所も用意してくれるなんて。
ここに置いてくれる魔王様の為にも精一杯頑張らなきゃ。
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