1人が本棚に入れています
本棚に追加
今日もいつものように、歌っていた。
今日もいい天気。どこまでも澄み渡る青空が清々しい。
そんな空を見ていると気持ちが晴れやかになって、歌う気になる。
白い花畑に囲まれて歌っていると、突然、ガサッという音がした。
それは誰かが足に何かを踏みつけたかのような。
誰…?
驚いて音がした方へ振り向くと、目を見開いた。
そこにいたのは、自分の髪色や瞳の色とは違う、見たこともないような色合いの男性が二人。
一人は手を上げて、愛想のいい顔を向けてくるが、もう一人は顔をやや俯かせ目を合わせないようにしていた。
その表情は恥ずかしがっているのではなく、無表情であった。
「歌っている最中にわりぃ。もっと近くに聞きたくて、つい」
愛想のいい方が申し訳無さそうに頭をかいて、そう言った。
「あ、いえ。それよりも驚きました。私以外にも人がいたのですね!」
「へっ…?」
素っ頓狂な声を出して、かいていた手の動きさえも止めてしまっていた。
(あら…?私変なことを言いました…?)
心の中で首を傾げていると、「マ、マジかよ…」と小さく呟いているのが聞こえた。
「…あ…いや……まあ…いいや。そういや、名前言ってなかったな。オレは、ヒュウガ。で、こっちの不躾の態度を取っているのが、クロサキって言うんだ。よろしくな」
「私は、シロアンです。この辺り一面に咲く白い花と同じ名前です。よろしくお願いしますね、ヒュウガさん。クロサキさん」
「…んっ?この白い花と同じ名前……?」
ヒュウガは、自分の周りに咲いている花達を見回した。
「?はい、そうですけど…」
「それは、どういう………いや、いい。いいや、やっぱ、うん」
訊きたそうに口を開きかけたが、何故か訊くのを止めていた。
最初のコメントを投稿しよう!