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いつものパン屋さんのクロワッサンを象った木彫りの看板をみて、いつも通りなことを確認して、なんだかホッとして、ひし形のガラスがいくつも嵌め込まれている木製のドアを開いた。
ドアベルが揺れているのに、やはり音はない。
ちょっと体格の良いおかみさんが、
「やぁリデル、いらっしゃい!」
と元気一杯の声でそう言って、
「いつものでいいかい?」
それに対して、こくんと頷くと、おかみさんは手際よく紙袋にバケットを二本いれてくれた。
その間におかみさんは、鼻唄を歌っていたようだったけど、それもやはり私には聴こえなかった。
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