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ドジソンおじいちゃんは、この国に選ばれた作曲家だった。
どんな人の心にも響いて、凄く勇気が涌き出る曲をたくさん描いていた。
寂しい気持ちを鼓舞するような、そんな曲。
聴いているだけで、とても誇らしい気持ちになる。
そんななか、この国が、隣国との戦争に突入する少し前の事だったけど、兵の士気を高めるとして、ドジソンおじいちゃんの描いた曲のいくつかが軍に採用された。
それは、私にとっても嬉しいことだった。
でも、その嬉しさとは裏腹に、当初は早期解決するだろうと言われていた戦争は、泥沼化の一途をたどり、私たち民衆の生活も比例して悪化していった。
それでも、毎回、出兵者が健康な男子から無作為で選ばれて、ドジソンおじいちゃんの曲がこの噴水公園で演奏されるなかで、皆に見送られて戦地へと向かって行った。
ドジソンおじいちゃんは、どんな気持ちで彼らを見送っていたのだろう・・。
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