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第一章 デイビッド、モレア王国の歴史を語る(4)
「ジェニーは、クラウスの封印に成功しました。しかし、このとき、クラウスの呪いによって、ジェニー自身も封印されてしまいました。それから八十年。現在にいたるまで、ジェニーの呪いはとかれていません。クラウスの恨みは、それほど根深いものだったのです・・・」
「はい、そこまで」
僕は、ぱたんと教科書を閉じた。
「今日は、ここまでしかお付き合いできません。このあと、騎士団の勤めがありますので」
「うん」
僕は、さっさと帰り支度を始めた。しかし、王子は本をしまうこともせず、僕の傍らに寄ってきた。
「ねえ、本当なの?」
僕よりも、頭一つ分小さい王子は、背伸びをしながら質問してきた。
「なにがですか?」
「マシューが、もう少しでジェニーの封印をとくという話。本当なの?」
僕は、正直ぎょっとした。
それは、現在の王であるエドモン・プランタジネットと、王宮魔法軍総司令官のマシュー・ウィンザー、それに、王宮騎士団団長である僕の三人しか知らないはずの、トップシークレットだったからだ。
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