一目惚れという運命

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「ごめんなさい」 「それは、どういう意味? もしかして付き合いをやめるとか言わないよね?」 縋るような視線を向けてくる原田さんに こめかみが脈打つ頭痛に瞬きが多くなるけれど キチンと謝らなければいけない 「・・・そういうことではなくて 覚えていなくてごめんなさい」 「良かった、無かったことにしてって言われたらどうしようかと思ったよ」 柔らかな声に少し安堵した 「朝食頼もうか」 「あ、の・・・」 「ん?」 「二日酔い?なのか、頭痛が酷くて 出来たら鎮痛剤を飲みたいので帰りたいです」 「あ〜、あの食前酒の所為だね? 比較的度数の低い軽めだと聞いていたんだけど それなら大丈夫、一緒に運んで貰おう」 どうやらここはホテルのようで ルームサービスに鎮痛剤が追加されるらしい 「シャワー浴びよう」 サッと身体を起こした原田さんも裸で目のやり場に困る シーツを顔まで引き上げると 「キャ」 それを剥ぎ取られて抱き上げられた 「あ、の、歩けますっ」 「いや、歩けないよ」 全く聞いて貰えないまま ベッドルームから出た そこは広いリビングルームのようで この部屋の凄さに固まる その間にも原田さんの足は進んでいて 広いバスルームに器用に入ると 何故かお湯の張ったバスタブへ抱き上げられたまま浸かった 「・・・っ」 当然のように何も身につけていない二人 丸い大きなバスタブの中で肩に力が入る そんな私の耳元でクスッと笑った原田さんの声が聞こえた
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