一目惚れという運命

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「ミキ」 耳心地の良いバリトンが バスルームの中で反響して心臓に悪い ドキドキする私なんてお構いなしに 顎を固定されて目が合った瞬間 噛みつくような口付けが降ってきて思考を鈍くする 「・・・んっ・・・ふ、ぁ」 息が苦しくて開いた口に 更に押し込まれる蠢く舌 確かにキスもその先も経験済みだけれど こんなキス・・・知らない 翻弄されるだけの口付けに 身体中の力が抜け落ちる 歯列も粘膜も全てを隈無く擦る熱い舌に お湯より熱いものが身体の奥から溢れてくる それを知っているかのように 原田さんの長い指が身体を滑り刺激を送り込んでくる 「んんっ・・・ん・・・っ」 外れない口付けに酸素が足りず お湯の熱さと身体の火照りに 頭がボウとした 刹那 ジクジクと熱を発する脚の付け根に大きな手が辿り着いた 「・・・っ」 その動く指の感覚にお湯とは違う滑りが感じられて震えるほどの羞恥心が湧いてくる ・・・こんなの、知らない あまりにも浅い経験値では 想像もつかないほどの変化を受け入れ難くて 熱い身体から溢れ続ける蜜が どうかお湯であって欲しいと願う それなのに チュッとリップ音を立てて離れた原田さんの唇からは 「ミキの大洪水でヌルヌルだよ」 そんな思いを打ち消す事実が聞かされた 「ち、がっ・・・ぁあ・・・ぁっ」 「昨日みたいに声を我慢しないで」 ググッと挿しこまれた長い指に 堪えていたものが決壊した 「あぁぁぁぁぁぁっ」 ピンポイントで擦られる刺激は まるで私の身体を知り尽くしているように簡単に絶頂へと押し上げる チャプンと大きく揺れ続けるお湯に 身体が溶けて無くなったような気がした
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