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待ち合わせの駅前広場は
週末ということもあって混雑している
百五十五センチの私が埋もれないように
少し目立つ時計台下のベンチへと腰掛けることにした
少し視線を落とすと見えるのは
綺麗な小花柄のワンピースで
浅葱色のカーディガンと合わせたのは
原田さんが随分と大人に見えたから
大学を卒業して七ヶ月
未だ誕生日がきていないから二十二歳
ちんちくりんな私と一緒に居て
原田さんが恥ずかしい思いをしないように
少しでも落ち着いてみえる組み合わせにした
少し緊張しながら視線を人混みに合わせていると、膝の上に置いているバッグから振動が伝わってきた
震えている携帯を取り出してみると
原田さんからだった
「・・・っ、もしもし?」
(あ、ミキさん。どこかな?)
「時計台のベンチに座っています」
(車で来てるんだ、車道に向かって出て来てくれる?)
「あ、はい」
勢いよく立ち上がると人混みを避けながら車道へと向かう
(あ、見えた。ミキさーん」
携帯と生の声が被って聞こえた
「あ。こんばんは」
「こんばんは」
運転席から降りた原田さんは
助手席のドアをスマートに開いて「どうぞ」と笑った
「あ、りがとうございます」
躊躇う暇もなく促されるまま乗り込んだ車の中は
座り心地の良い皮張りのシートに
耳心地の良いジャスが控えめに流れている
運転席に乗り込んだ原田さんは
「車、出すね」
シートベルトを着けるとハンドルを握った
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