第十章 もろびとこぞりて

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 再びクリニックの玄関前にタクシーを呼んで河西先生と乗り込んで目的地へと急いだ。時と場所を選ばずいつもいきなり…っていう北条の暴君さは健在だということ。  ホテルの正面玄関から小走りで中に入るとベルボーイに呼び止められた。 「河西様と大江様でございますか?北条様があちらでお待ちでございます」  エントランスホールの奥でちょっと偉そうにソファーに深々と座る後頭部だけが見えた。思わず吹き出しそうになった。 「「相変わらずだ」」  見た瞬間に河西先生とセリフが被って余計に笑った。 「北条!お待たせ。…ったく、今日はイヴだというのにお前は他人の予定とか気にしたりはしないのか?」  河西先生も久しぶりの親友との再会に遠慮なく嫌味を言う。 「なんだよ…久しぶりに山奥に会いに来てやったのに。お前たちも一緒に暮らして2年以上経ってるだろ?今更クリスマスイヴにイチャイチャしないだろが?」  いや……イヴじゃないけど、まぁ…それなりにイチャイチャしてるな。  オレは心の底で北条に言い返す。おかげ様で河西先生とは仲良く暮らしているのだ。
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