第一章  負け犬。

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第一章  負け犬。

 イルミネーションが水辺に反射して、そこは宝石を散りばめたようになっている。眩しいほどの光はただ白いという色で片づけるにはもったいなく、透き通るような美しさをもって輝きを放っていた。 「いつか読んだ話にもあったよなぁ…。ああ、あれだ。キツネが手袋を買いに行った描写の中にあったわ。“コバルト色”って書いてあった」  オレの名前は大江啓介(おおえけいすけ)。自分で自分を紹介することすら苦手。それなのにプライドだけはやけに高くて、アンバランスさを感じている。 「やっぱ……死ぬしかないか。でもこの川、この時期に入ったら確実に寒いだろうな、当たり前だけど?」  オレは今、途方もなく切羽詰まった状態にある。自分の生活費を稼ぐのがやっとだという日々にも拘わらず、友人になけなしの金を貸したのだが、もともと金のないヤツに貸したらちゃんと返ってくるわけがなく、約束の期限を境にスマホは通じなくなった。
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