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「おい、起きろ!負け犬。いつまで寝ている?」
急に悪魔みたいな声が頭上から響いてきた。なんか偉そうじゃないか。こんな光あふれた世界に似つかわしくないじゃないか。
オレは恐る恐る目を開ける。ものすごく広い部屋だった。壁から壁に辿り着くまでに腕を伸ばし、手を広げただけでは届かない。とにかく全面“白い”。なので光が反射して余計に広く感じるのかもしれない。そして窓は切れ目のない巨大なガラスで囲まれている。いわゆる景色を楽しむための贅沢な窓だった。
「……ここは?天国?」
独り言を呟けば、オレの真上辺りから盛大なため息が聞こえてきた。
「お前、そんなものを本気で信じているのか?だから負け犬になるのだ」
オレに辛辣な言葉を浴びせた存在は、足を組み、オレが寝ているそばに置かれた贅沢そうなソファーに座っていた。
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