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「助けた礼も言えないようなヤツに用はない。さっさと出て行ってもらおうか?」
男は容赦なくオレが寝ていたベッドの布団を捲り上げた。さすがにオレは自分の状況と見ず知らずの人がオレのために尽力してくれた時間と意思に謝辞を言うべきだと我に返った。
「……ごめんなさい。オレが間違って…ました。オレは大江啓介といいます。入水自殺しようと…飛び込みました、すみません」
男はオレの言葉に眉頭をわずかに動かした。
「…やはりそうか。その割には天国だのなんだの能天気なことを言っていたな?大方、ただの経済苦か何かか?あれだけ流されて生きてたくらいだからな。健康に問題があるとは思えない」
「……その通りです。友達になけなしの金を貸して、何度か返済してもらえなくなって、連絡もとれなくなりました」
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