マスクマン

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コロナ渦の今、貴方は街行く人の素顔を拝顔したことがあるだろうか？私はほぼ、ない。屋外でも！である。私は正直、屋外ではしない。並んだり、例えば昔で言う原宿の竹下通り並みの、ごみごみした場所ならしよう。で、思うんだ。あんたら、異常じゃないのと。大気中にそんなに漂うの、ウィルス？大気中で死なないまま増殖するなら、人類死んでるって！マスクかけていたいんならどうぞ、個人の自由ですから。でも、顔の半分しか見えない世界ですよ？今後も貴方は耐えられますか。そんな世界を想像してみました。

　　　　　　　　　　　　　ーマスク法ー
新たに政府が施行した法律だ。国民は等しくマスクを着用することを義務化。違反者には刑罰が与えられる。執行猶予などなく、いきなりの実刑判決だ。懲役１０年とかなり重い。コロナウィルス鎮静化後にガバマウィルスが世界中に蔓延。致死率５３％で若年層の死亡率が高い。これにより、世界人口約８３億がたった一年で１２億人減少となり、７１億人へ。大恐慌が起こった。ウィルス開発が躍起となる中、各国で国境閉鎖がおこり経済の停滞、食糧危機、暴動の蜂起、医療崩壊、負の連鎖だ。自己生産力のない国、国民性、民度が低い国ほど崩壊進行が早かった。その折をうけての法の制定。日本人口が１億から８千万人に減少したのだ。これもたった一年である。５年で日本人死滅の計算だ。国民に文句の言いようがなかった。それでも法施行時、一部暴動が発生したが鎮圧された。数十人規模のものであったが、見せしめのように鎮圧の様子が報道され、さながら戦時中の特高警察(特別高等警察の略称で、当時の政府に反対する思想や言論、行動を取り締まることを専門にした秘密警察)を彷彿させた。流血しながら運ばれる暴動者たち。彼らにはいきなり法が適用され、懲役１０年が略式で言い渡されると、特別に設けられた刑務所に移送された。この刑務所、場所が凄い。北海道の北東、名もない政府直轄無人島である。収容人数１０万人の隔離施設と言っていい。医療は整っていないため、所内でもし、ガバマウィルスが蔓延したら諦めるしかないだろう。囚人がマスク着用を拒否した場合、強制でマスクを顔に縫い付けるといった行為が行われる。

マスク法施行後、マスクに対する人の感情に変化が起こる。コロナ渦からマスクが義務のような風習となり、国民は互いの素顔を見ることがなくなった。そのせいか、人はマスクを美として、また恋愛対象として捉えるようになる。マスクが綺麗なほど、マスクとの顔のバランスがいいほど、モテるのである。マスクデザイナーまで現れた。マスクが良ければ高齢者であっても、モテる。その高齢者、ガバマウィルスによる致死率は１％に満たない。逆に１０代未満の致死率は何と６１％。因みに２０代で５５％、３０代で５０％、４０代で２２％、５０代で８％である。これは、細胞分裂の速度にウィルスとの関係性が指摘されていた。若いほどウィルスの増殖が速い。なので抗体ができないまま若者が死ぬと。抗体を作るなら高齢者からと言われ、図らずも高齢者が社会的、世界的に脚光を浴びるようになる。ガバマウィルスは、体内での増殖は凄まじく毒性も強いが、自壊していくウィルスなのだ。なので、高齢者ほど増殖率は低く、全身に回るまでに自壊するから致死率が低いと言うのが専門家の意見である。マスク法はアニメ、漫画も例外ではなかった。大人気を博した仏滅の刃(悪に染まった仏たちを仏滅隊の鬼が殲滅する話)も修正が入り、強引に役柄にマスクが描かれた。芸人、俳優、アイドル、スポーツ選手も同然だ。とにかくマスク一色に染まった世界。マスクがガバマウィルスに対する効果は未だ皆無である。が、マスクが心の拠り所になり、かつ美学にまで、色欲にまで影響を及ぼす世界となった。人類はどんな方向へと進むのだろう。

こんな世にならなければ、いい。