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「貴方がピラピラしたのに包まれた物ばかりくれるから、ずいぶん器用になったはずなのに、これは食べにくい」
歯形のついたアイスに横から手を伸ばして封を開けると、ほう! と感嘆の声が聞こえた。
それから青年は、アイスの中身が出てこないだの、寒いだのと文句を嬉しそうな顔で言いながら、今までに供えてきた菓子の感想を一つずつ丁寧に教えてくれた。
私はひどくマヌケな顔をしていたのだろう。店で小銭を出した私自身でさえ覚えていない菓子を彼は一つとして忘れることなく、指折り数えながら聞かせてくれたのだ。彼は私の顔を覗き込み
「あれ、僕にくれたんでしょ? ちゃんと食べたよ。美味しかった。あ、しゅわしゅわするのはちょっとびっくりしちゃったけど、甘くて、くーってなっておもしろかったよ。ありがと」
そう言うと、既に陽の落ちた暗がりの中でもわかるようなはっきりとした笑顔を見せた。
「えーっと……その、誰?」
失礼極まりない私の質問に、青年はきょとんとしたあと、何度か瞬きを繰り返した。
「え? そこから? 知っててくれたんじゃないの? そっか、知らないのか……あー、もう知ってる人間なんていないのかなぁ」
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