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寂し気な呟きに応えるように弱々しく風がそよぐ。
「神様? 本物? 本当に?」
私の想像していた神様の姿形と青年のそれはずいぶんと違っていたが故に考えるよりも先に言葉が出てしまった。
「人間ではないよ。神様かどうかは……どうだろうね? あ、ごちそうさま」
それはどういう意味……と問おうとするのを遮って、アイスをすっかり食べ終えた青年は立ち上がった。
「貴方が神様だと思えばそうなんだろう。バケモノだと思うのならば、それもまた正しいのだろう。決めるのはいつも人間。僕じゃないから」
じゃあね、と手を振って歩き出した彼の背中が遠のいてゆく。
「貴方は何が好きなんだ? 和菓子? 洋菓子? 飲み物は?」
「……何故? 僕に取り入っても特になにも良い事なんてないと思うよ?」
歩みを止めた彼は半ば呆れたような声音で、疑問に疑問を返してきた。
私は、ただ仲良くなりたいのだと白状した。それはとても子供染みた思いで、またここに来た時にこうやって話をしたり、同じ菓子を食べたりしたいという、我ながらなんとも情けない願いだった。
「僕を遠くに感じるか、近くに感じるか、それは貴方次第です」
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