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そう答えた彼は振り返らない。
「人間やめたら、少しは近くなるかもね?」
悪戯っ子の囁きは独り残された私の鼓膜に響き続けた。
去り際にたった一度だけ振り返った青年の無言のままの微笑みの意味を、私は考えねばならない。
答えがあるならいつか辿り着けるだろうかと考えながら、すっかり吸い尽くされ変形したアイスの包装の残骸を小さなビニール袋に押し込んで私も小さな社に背を向けて帰路に着いた。
ーーだって貴方、僕と同じでしょう? 明日もまた、来てしまうんでしょう? 寂しいから。でも貴方が人間やめたら、お菓子が食べられなくなるねーー
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