打ち上げ花火

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打ち上げ花火

女癖も酒癖も悪いオレだけど、こんなオレを好きになってくれてーーーありがとう。 最初の出会いは、客と店員関係からだった。 オレがよく行く居酒屋に、若い店員の女の子がバイトで働き始めていたのが、最初の出会いだった。 最初は、『あー、新しい店員だな』程度で、別に何とも思わなかった。女癖が悪いけど、オレにだって好みや常識はある。 ただ、単に学生の女の子かぐらいだった。 そんな、オレのお気に入りの居酒屋で、ちょっとしたイザコザが起こった。 イザコザといっても、酔っ払い同士の喧嘩だ。オレの通う飲み屋街では、よくある風景だったのだけど、まさか店内で喧嘩をするなんて思いもよらないことだ。 店にいた客たちは、酔っ払い同士の喧嘩に不安な顔を浮かべている。 オレも早く終わらないかなぁって、呑気に構えていると、酔っ払い同士の喧嘩の間に、あのバイトの女の子が、仲介に割り込んできたのだ。 周りの客たちの不安は一層深まる。 しかし、女の子はそんな客たちの気持ちも知り良しもなく、酔っ払いどもに、 「他のお客様にご迷惑ですから、喧嘩なら外でやって下さい!」 意外にも、根性のある女の子に半ば関心していると、酔っ払いの一人が「うるせー! オンナはすっこんでろ!!」と、女の子に平手打ちをしたのだ。 かなり勢いがあったのか、女の子は後ろに尻餅をついた。 周りの客たちの悲鳴やブーイングが、渦巻く。しかし、誰一人女の子を気にかける人はいない。 オレは、自分の席から立ち上がり、女の子の前に立つ。 オレも酒癖悪いし、喧嘩も日常茶番だから、酔っ払い共の気持ちも分からなくもない。だが、人としてやってはいけない事ぐらい、酔ってても辛うじて分かるはずだ。 「おいおい、お前らいい加減しろや。つうか、店員さんに手出したらいけねぇだろうが、しかも若いねぇちゃんによ。喧嘩なら他所でやれや」 「あぁ? なんだテメェ、文句でもあんのか?!」 「……全く、情けねぇ男、だな!!」 オレは、女の子を平手打ちした男の胸ぐらを掴み、外まで引きずって行った。ついでに、もう一人の喧嘩していた、若い男も呼び、店の外に出た。
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