チャプター1/ミキの純情と打算、そして執念

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ミキの純情と打算、そして執念…/その3 ミキ 「…うーん、ミキの今の話聞く限りじゃあ、もう、一人しかいないわね。あの高原亜咲さんが去った今、その海外スタントをこの都県境で志望できる若い女性は、迫田リエ以外いないと思うよ」 迫田! 「…ええと、どんなポジションにいる人?何となく聞いたことある気もしないでもないけど…」 「まあ、一匹狼でフリーのライダーってとこね。私も会ったことはないけど、何でも左右両利きで、少数派チームからの誘いにも一切乗らずってスタイルを貫いてたみたい。ただ最近になって、その腕を買われてさ、”どこか”に加わったんじゃないかって噂もあるわ」 紅組のサブリーダー格で私を支えてくれている大巻奈々子は、交友関係が幅広く、こういった情報面にはもともと強い そこで、高本さんの”競合相手”の心辺りを尋ねてみたんだけど… いきなり候補の名が奈々子の口から飛びして、私はちょっと戸惑っていたわ ... 「その迫田は、前々から映画やドラマのスタントマン役でオーディションを受けたりしてたとか、そんな話は耳にしてたから…。海外でそんな仕事って、そうはできる人いないし。まあ、ミキの話を聞いた範囲での私の推測に過ぎないから、承知はしてね」 「うん。参考になったわ。ありがとう」 「それでさ…、アンタ、あの火炎瓶男とは今、恋人の関係ってことなの?」 「うーん…。まだキスもしてないんだけどね、実際は。でも、私は本気で好きになっちゃってる」 「そう…」 奈々子とは長い仲だからね… 私の気質というか、本質的な部分を知ってるんで、やはり不安なんだろう たぶん、傍から見てると歯がゆくて見てられないって… 南部さんへの想いのことも事後報告したら呆れられたし ... 「私なんかが余計なお世話かもしれないけど、もっと、女を出したほうがいいよ。好きな男の人にはさあ…」 「奈々子、悪い。意味がよくわかんないよ(苦笑)」 まあ、本当はなんとなくはわかってるつもりだけど…
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