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ミキの純情と打算、そして執念…/その3
ミキ
「…うーん、ミキの今の話聞く限りじゃあ、もう、一人しかいないわね。あの高原亜咲さんが去った今、その海外スタントをこの都県境で志望できる若い女性は、迫田リエ以外いないと思うよ」
迫田!
「…ええと、どんなポジションにいる人?何となく聞いたことある気もしないでもないけど…」
「まあ、一匹狼でフリーのライダーってとこね。私も会ったことはないけど、何でも左右両利きで、少数派チームからの誘いにも一切乗らずってスタイルを貫いてたみたい。ただ最近になって、その腕を買われてさ、”どこか”に加わったんじゃないかって噂もあるわ」
紅組のサブリーダー格で私を支えてくれている大巻奈々子は、交友関係が幅広く、こういった情報面にはもともと強い
そこで、高本さんの”競合相手”の心辺りを尋ねてみたんだけど…
いきなり候補の名が奈々子の口から飛びして、私はちょっと戸惑っていたわ
...
「その迫田は、前々から映画やドラマのスタントマン役でオーディションを受けたりしてたとか、そんな話は耳にしてたから…。海外でそんな仕事って、そうはできる人いないし。まあ、ミキの話を聞いた範囲での私の推測に過ぎないから、承知はしてね」
「うん。参考になったわ。ありがとう」
「それでさ…、アンタ、あの火炎瓶男とは今、恋人の関係ってことなの?」
「うーん…。まだキスもしてないんだけどね、実際は。でも、私は本気で好きになっちゃってる」
「そう…」
奈々子とは長い仲だからね…
私の気質というか、本質的な部分を知ってるんで、やはり不安なんだろう
たぶん、傍から見てると歯がゆくて見てられないって…
南部さんへの想いのことも事後報告したら呆れられたし
...
「私なんかが余計なお世話かもしれないけど、もっと、女を出したほうがいいよ。好きな男の人にはさあ…」
「奈々子、悪い。意味がよくわかんないよ(苦笑)」
まあ、本当はなんとなくはわかってるつもりだけど…
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