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ミキの純情と打算、そして執念…/その4
ミキ
奈々子はしきりにこぼれ笑いをこらえるって顔つきで、恋の講義を私に授けてくれてね…
「…そもそも、本気で好きになった人のよ、何をミキが考えてるかってことよ。アンタの話、私が聞いてる限りじゃあ、高本さんの海外スタントの夢…、”それ”で今は頭の中がいっぱいになってるんじゃないの?」
「そうね、その通りかも…」
「確かに愛する人のことを純粋に思う気持ちには間違いないんだから、素晴らしいと思うよ、ミキの気持ち…。でもさ、言葉は乱暴だけど、もっとわがままになった方がいいよ」
「わがまま…?ますます奈々子の言ってる趣旨がわからなくなってきたよ‥」
「あのね、ぶっちゃけて言えば、甘えちゃいなさいってことになる。あなたの夢も大切だけど、私も大切なんでしょ?もっとかまって~、とかってね…」
ああ、そういう主旨ね(笑)
...
「奈々子は私のこと、昔からよく知ってるから理解してくれると思うけど、この私が今のセリフ、どんなに感情込めて言ったところでさ、ぶっきらぼうに聞こえちゃうんだよ、向こうには。挙句は不気味がられる…。ずっとそうだったしね、私って女は、はは…」
「今まではそうでも、要は余分なこと考えずに心と身を投げだしちゃえばいいんだって。別に難しいことじゃないよ。ただ、何しろ、肩ひじ張らずにだよ。すぐにはモードチェンジ無理でもさ、力を抜いて、そういう気分を心がけてれば、まあ、おのずとね…。”その時”が必ず訪れるから」
「うん。なるべくそういうふうに心がけるわ」
「はは…、まあ、高本さんさんとミキならお似合いだよ。だから、余計にね…。アンタみたいなイイ女が今まで彼氏もいないなんて周りからしたら七不思議だったけど、男の人には不器用丸出しなの、私、近くでいつも見てきたからねー。なんで、今回はぜひ、上手く付き合ってほしいと思うんだけど、何よりとりあえずはラブラブでいてもらいたいんだよね。その上で、彼の素敵な夢には寄り添ってあげて欲しい…」
「…」
私はちょっと感動した
この年になってまで、友人にこういう切り口の諭され方をされると、単純に心がジンくるものね…
まあ、奈々子はクスクス笑ってたけど…
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