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「これ以上太りたくないんだ。このまま力を蓄えていったら、遠くない将来、僕はピー……様や、ピー……様や、ピー……様のようなデブ神様になってしまう」
神様として、この文脈で聞いてはいけない名前だったため補正が入ったが、「ピー……」の部分には、おそらく神様中の神様である、〇〇様と〇〇様と〇〇様の名が入っていた。七柱で舟に乗っている有名な神様たちのうち、特にふくよかなお三方だ。やせてみすぼらしいばかりのシロには眩しいほどの方々だが……。
「なっては、いけないのですか……?」
琴平さんは美しい顔を悩まし気に歪めた。
「もう少し、今のままの姿でいたい。時間をかけて、ゆっくりなら、あんなふうになってもいいけど……」
わかるようなわからないような気持ちでシロは曖昧に頷いた。悩みは神様それぞれだ。
「すまないね。シロの問題に比べたら、取るに足りない悩みだ。気にしないで」
「いえ。あの、何かいい流れが見つかるといいですね」
「シロ。きみはいいやつだな」
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