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「それじゃあ、後はよろしくお願いします」  頭を下げて立ち去ろうとすると、琴平さんがシロの着物を掴んだ。 「ここにいようよ。シロの加護がないと、谷さんがどうなるかわからないよ? シロが御札から出た途端に事故に遭ったんだから」 「でも……」 「金運の心配はしなくていい。シロがいるくらい、なんてことない。むしろ、いいダイエットになる」  心が揺れた。シロが迷っているうちに、事故の相手先から「保険金とは別にお見舞金を渡したい」という連絡が入った。受け取れないと断る谷さんに、ちょうど訪ねてきた浜田さんが言った。 「相手の方、勉強料だって仰ってましたよ」  もっと悪い相手に当ててしまう前に、谷さんのような優しい人に迷惑をかけて学ばせてもらった。厄落としも兼ねて受け取ってほしいと言ったそうだ。  琴平さんが綺麗なドヤ顔を見せた。 「僕、いてもいいのかな」 「いたほうがいいんだよ」
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