和夫と広志の運動会

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 閉会式が終わると、近所の神社には仲良くお参りする三人の家族の姿があった。手を合わせ今日の御礼をすると、帰り道を手を繋いで歩いた。  楽しかった運動会。和夫にとっても、広志にとっても良い一日となった。二人で、生まれて初めてゴールテープを切った。 「ところで晶子。何でだと思う?」 「何が?」 「いや、何で足が速い子ってモテるんだろうな」  和夫は拍手喝采を浴びても辿り着けなかった答えを探していた。  すかさず広志が口を挟む。 「それは、カッコいいからだよ!」 「だよな、今日のお父さんと広志、頑張ったよな」  広志が元気良く「うん!」と言うと、和夫は今日の走りに満足したのか、嬉しそうに微笑んだ。  広志の恋がこの先どうなるかは分からない。足が速いとモテるなんて、子どものうちだけだ。  しかし、頑張って必死になる姿は、子どもだろうが、大人だろうが、いつだって──。  晶子は眉間に皺を寄せ、頬を膨らませると、今日の和夫の勇姿を思い出して言った。 「そうね、カッコいいかもね!」 「よーし! 走って帰るぞ!」    二足の眩しい靴が、仲良く町内を駆け抜けた。 〈終〉
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