Prologue

2/2
前へ
/166ページ
次へ
   ーー結奈ちゃんのことが好きだから。ずっと、待ってる。  ある瞬間、ふと胸に湧き上がる声。振り返ってみても、誰かが落とした言葉ではなくて。自分の中だけに聴こえる想像の音。  とても切なく響く声を、ずっと前から知っている気がする。  実在するかも分からない。見知らぬ人の告白に、少しだけ勇気をもらっていた。こんな私のことを、好きになってくれる人がいるかもしれない。  臆病でも、恋をしていいのだと後押ししてくれるような神様の声。  ーーだから、さよならだね。  もうひとつが聴こえるようになったのは、もう少しあとのこと。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加