0-2 ときわ木の下で

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 愛し合う男女に天と陰陽が与える祝福、それが結婚だと、『聖典』には書かれている。大きくなって、メルーシナと愛し合って、天と陰陽の祝福を得られたら、それは素晴らしいことだろう。シウリンは頭がぼうっとなり、心臓が早鐘を打つ。  メルーシナの触れる部分から、シウリンの身体を熱い〈気〉がめぐる。これはきっと、彼女がシウリンの唯一無二だから。もし、シウリンが結婚するならば、それは彼女以外にはあり得ない。腕に纏いつく体温と、伝わる熱と〈気〉が、シウリンにそれを確信させた。  だが――。 「ありがとうございます。お申し出は大変ありがたいのですが、僕は僧侶ですので、一生誰とも結婚しません」
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