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0-3 約束の指輪
シウリンの言葉に、メルーシナが驚いて目を丸くする。
「ソウリョは結婚できないの?どうして?男の人と女の人は、誰でも大人になったら結婚するってお母様もばあやも言っていたわよ?」
「ごめんなさい。……僕は、一生僧院で過ごすように、生まれた時に決められているのです」
聖地の僧院で育つ孤児たちの中には、その適性によって成長の後は聖地を出て、世俗の仕事を見つけても行くものも多い。だが、シウリンは〈純陽〉と言われる献身者であり、生涯、聖地の外に出ることもなく、もちろん、結婚もしない。生まれた時にそのように定められているのだ。
シウリンに結婚を断わられ、メルーシナは大層、傷ついたらしい。
「……シウリンは絶対、絶対結婚しないの? わたしの旦那様にはなりたくないの? わたしのことが嫌い?」
翡翠色の瞳を潤ませて、見上げてくるメルーシナの様子に、シウリンは黒曜石の瞳を見開く。腕から流れ込む〈気〉が、哀しみに震えている。シウリンは動揺した。
「そんな、ことはありません。……僕は……メルーシナが……好き、ですよ」
「わたしも……シウリンが、好き、よ」
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