350人が本棚に入れています
本棚に追加
シウリンの問いかけに、腕に絡みつく少女の指が、わずかにぎゅっと縋りついた。
「ううん。最初は〈王気〉が綺麗だと思ったの。でも、〈王気〉がなくても、シウリンとずっと一緒にいたい。シウリンはお日さまの匂いがして気持ちいいし、すごく優しいから。シウリンが旦那様になったら、ずっと一緒にいられるのでしょう?」
少女がシウリンの肩に顔をすりつけるようにして言う言葉が、甘い蜜のようにシウリンの全身を浸していく。どうして、この少女はこんなに甘いのだろう? 彼女が触れている箇所が、熱を持ってジンジンする。触れてくる彼女の掌が、先ほどよりも随分熱い気がする。頭に血がのぼり、ふわふわと足元が覚束ない。耳元に彼女の息がかかり、その熱に、心臓が早鐘を打ち始める。
「ずっと……一緒に?」
思わず上ずった声で聞き返すのに、メルーシナが肩口で頷く。銀の糸のような髪が、首筋に触れ、薔薇のような甘い香りが漂う。
「うん……シウリンがいいの。他の人では嫌」
メルーシナの幼い、甘ったるい声が、シウリンの脳をとろりと融かす。シウリンはその甘さに酔いしれ、とうとう抵抗をやめた。
最初のコメントを投稿しよう!