0-3 約束の指輪

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 熱い――。  唇から流れ込む彼女の〈気〉も熱いが、唇に触れる彼女の額がすごく熱い。 「メルーシナ……熱が上がっていますよ! 大変! 急いで尼僧院に向かいましょう」  今まで、メルーシナの〈気〉の甘さに気を取られて気づかなかった。シウリンは自分の迂闊さに舌打ちする。 「ううん……大丈夫……シウリン、温かいから……」  先ほどよりも幾分ぐったりしたメルーシナを背中に負ぶって、シウリンは再び歩き出す。 「辛かったら眠ってもいいですよ。落としはしないから」 「うん……だいじょうぶ……」  程なくして、背中から寝息が聞こえてきた。シウリンはメルーシナを起こさないよう慎重に背負い直すと、歩く足を速めようとした。  その時、メルーシナの手の中から、何かがころりと落ちた。
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