お茶屋

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お茶屋

 5月もそろそろ半分が過ぎようとしていた。  桜の季節も終わりかけになっており道には桜の花が散っていた。  うららかな朝。 「葉月(はづき)ー。準備できてる?」  お茶屋『一茶(いっさ)』から女性の声がした。 「大丈夫だよ、お母さん。今行くね」  二階建ての木造建築から2人の声が聞こえる。  2階から降りてきたのはまだ高校生くらいの女子だった。 「ごめんね葉月。いっつもお店手伝わせちゃって」 「平気だよ。好きでやってるんだもん」  母親は葉月に手を合わせてるが、葉月は笑顔で薄緑色の(つむぎ)の着物の帯を直した。 「じゃあ、今日もよろしくね」 「はい」  親子の笑顔とともに『一茶』は開いた。
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