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アカデミズム
アルフレド・ベネディクト・ベラスコとはどのような人物か。
そう問われても、ソフィアに彼を表せるような言葉は思いつかなかった。
人によっては「大金持ちだ」表現したり、「信じられないくらいの美男子だ」と言ったり「人前に姿を現さない変人だ」と評したりするかもしれない。
確かに、彼は金持ちである。世界で三本の指に入る大きな宝石であれ、五百年前の偉大な画家の描いた絵画であれ、部屋が八十もある屋敷であれ、未来を映すという水晶玉であれ、人語を話すと言われる異国の珍鳥であれ、不老不死の秘薬であれ、ぽんと買えてしまうだけの金を持っているのだ。
信じられないかどうかは別として美男子であることも間違いないし、人前に姿を現そうが現すまいが彼が変人であることも間違いない。——が、所詮それらは彼の一面を切り取っただけに過ぎない。
どんなに個性の乏しい人間でも、その人物について一言で語れるような単語は存在しないだろう。それがアルフレド・ベネディクト・ベラスコならばなおのことである。私が知りうる限りの単語を並べても、彼を表す事なんか出来ないのではないだろうか。それでも彼を表現する言葉をさがすとしたら、そう例えば。
まず彼は、アカデミズムな人間である。
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