欠けがえのない大切な人

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欠けがえのない大切な人

強く抱かれた身体を離し彼(旦那)は、真っ直ぐ私の見つめた。 「移植をする。しないを決めるのは君だけど君は独りじゃないよ。ずっと伝えたかった。独りで抱えて悩む君に、どう接していいのか分からず一時は見て見ぬふりをして誤魔化した。独りで泣いてる君を見て堪らなく辛くて…逃げたんだ。俺は…。そんな俺自身が一番、許せない!傍にいるのに何もしてやれない自分が不甲斐なくて…情けなくて…。だから、もう一度、俺にチャンスをくれないか?俺達は夫婦だから一緒に闘おう。2人の未来の為に。2人の幸せに為に、生きる努力をしよう」 彼(旦那)の目に強い決意の現れと、迸る熱が漲って見えた。 「誰の為でなく俺の為に移植を受けてほしい」 静に頷き心にかかったモヤが薄れ、霧が晴れたような気がした。 彼の言葉は魔法のようで、まるでプロポーズを受けた時のように私の心は、ときめいていた。 「沢山、悲しませて、ごめんなさい。傍にいてくれて支えてくれて、ありがとう」 私達は、どちらからでもなく抱き合い 熱い口付けを交わした。 「愛してる」 2人の眼差しが交差し柔らかな笑みが自然と零れた。
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