第1章 いのりと全裸男

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「ココはいつも四位か五位なのに……珍しいですよね」  遥が言うのを聞いて、小手指がいのりに疑るような目を向けた。 「玉倉さん、あなた借金とかしてココにつぎ込んだんじゃないでしょうね」 「し……してません! ちゃんと自分のお給料から課金しました!」  来月の生活費がちょっと心配ですけど、というのは言わないでおいた。 「ココは前回のイベントシナリオがユーザーから評判でしたから、その影響もあるんじゃないでしょうか」  榛名が言った。アプリ内で毎月行うイベントも、好きなキャラのストーリーを選択して進めることができる。ストーリーがよければ、今回のようにキャラの人気も上がる。人気が上がれば売り上げも上がる。人気のあるキャラクターはそのゲームの売り上げを左右するキーパーソンというわけだ。 「それにしても、やっぱり龍は強いですね。いつも一位だし」  いのりが言うと、鵠沼が「当然でしょ」と返してきた。 「龍は榛名くんがシナリオ書いてるからね」  龍のシナリオは、毎月のイベントのものだけでなく、アプリ内に常設されているメインストーリーでも、榛名が執筆を担当している。
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