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モノローグ
僕はクリスマスが嫌いだった。
両親と一歳の妹と過ごすこのクリスマスが。
だっていつも、父さんも母さんも妹ばかり目をかけてるんだ。
僕にくれる言葉は、妹が生まれてからもうずっと変わらない。
「お兄ちゃんなんだから」って、母さん。
「お兄ちゃんだろ?」って、父さん。
何か求めたら、「我慢できるよね」って言われて。
転んで泣きそうになったら「泣くな泣くな、強くなれ」って言われる。
同じことばっかりで、もううんざりだった。
だから僕は……あの日、あのクリスマスイブに、家族から逃げ出した。
寒い、雪の降る夜のことだった。
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