知らぬが花

12/16
前へ
/16ページ
次へ
「ただいま……!?」  佑奈を探しながら、あの家の近所や、駅周辺等を見て回ったがどこにもいなかった。がっくり疲れきって帰って来た良夫。 「何でも屋」の事務所に戻ると、姉の幸代と真琴、それに佑奈がいた。なんと、三人で笑っているではないか。 「……佑奈、ここにいたのかっ!?」  良夫はホッとした。安堵した束の間、沸々と怒りが沸き起こった。佑奈はそれを察したのか、 「良夫さん、先に帰ってごめんなさい! それに変な事に巻き込んでごめんなさい」  佑奈を見ると泣きそうになりながら、頭を下げている。それを見た良夫はスッと怒りが収まってしまった。 「無事なら……良かったけど」 「良夫、お疲れ様。座ったら……?」 「良夫兄さん、お帰りなさい!」  真琴が席を立つと、備え付けのキッチンに入って行った。お茶を入れに行ったんだろう。  しかし、何かおかしい?…… この空気は? これは一体何なのだ!?  佑奈がスッと顔をあげると、涙を拭い、 「良夫さんに、話して無いことがあるの。聞いてくれる?」  佑奈が驚きの内容を話始めた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加