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「良夫さん、ごめんなさい」
佑奈はソファーで小さくなっている。
良夫は、「俺に再会するためだけに、こんな事を仕組むか普通……!?」と思わないでもなかった。
でも……
「佑奈、俺の舞台、見に来てくれていたんだな……」
「出待ちもしてたのよ。相手にしてもらえなかったけどね」
佑奈が寂しく笑う。
あの頃の良夫は、周りが見えていなかった。虚構の中で生き、現実の世界を見ていなかったのかもしれない。
「佑奈、ありがとうな」
「ショータさんっっ」
佑奈が良夫のかつての芸名を叫び、ソファーを飛び越え良夫の腕にダイブしてきた。
ショータか……とても懐かしい響きだと良夫は思った。
「良夫、私も一枚噛んだ事だから、こんな事言うのもなんだけど、あんた外堀埋められてるのよ」
「…… ……!?」
「あんた今日、お付き合いの許しを貰いに行った事になってるの」
「……はぁ!?」
「お母さんに気に入られたでしょ?」
「気に入られたって……!?」
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