知らぬが花

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 佑奈が良夫の腕の中から、顔を上げ照れ笑いをしている。 「父が、母に紹介して気に入れられれば認めるって言われて……」 「はぁっっ? 何だそれ!?」 「だって、良夫さんモテるから私、心配なんだもの……」  佑奈が心配そうな顔をする。  良夫は呆れてものが言えない。  深夜、眠れぬ良夫は、ウイスキーをちびちび舐めていた。 「祐奈に初めから仕組まれていたのか……? 初めからっていつからだ? あのインタビューを受けた時?」  わからないことだらけで、良夫は風呂上がりの洗った髪をくしゃくしゃ掻いた。 「良夫、眠れないの?」  幸代が良夫のいるリビングに入ってきた。 「良夫も、そろそろ身を固めた方がいいかと思ったのよ」 「姉さんは?」 「私はこの仕事と結婚したの。ここを父さんから引き継いだ時、決めたの。祐奈が気に入らなかったらあれだけど、ちゃんと考えてあげて? あの子、一途で良い子よ」  幸代が言うと、それはまるで、前の彼女が悪い子だったように言う。 「姉さん?」 まぁ、もう昔の話なのだが。
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