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「はい。お聞きしたいのは、今でも、以前でも構わないのですが、お仕事を始めた理由をお聞かせ願えますか?」
女性の言葉に、幸代と良子の二人が顔を見合わせる。
「私達の……仕事?」
「始めた理由……?」
「はい、そうです」
女性インタビュアーが、ニコニコ笑顔で回答を待っている。
「そうねぇ……」
良子は何かイタズラを思い付いたのか、そっとマスクを外した。そして、クスクスと楽しそうにインタビュアーへ問いかけた。
インタビュアーが充分にソーシャルディスタンスを保っているのをこっそり良子は確認している。
「逆に聞きますけど、私たちなんの仕事をしてる様に見えますか?」
「……え?」
マスクを外した良子の顔はとても美しい。それに、聞き返されると思わなかったのか、インタビュアーの女性が言葉に詰まってしまった。
「良子、こちらの方もお仕事なんだから、困らせたらいけないわよ」
幸代がたしなめると良子が両手を前で合わせ小首を傾げウインクした。ペロッと舌を出す姿がコケティッシュで愛らしい。
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