知らぬが花

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 良夫の付き合っていた女優の卵が二股騒ぎの上、大問題を起こしたのだ。周りの話だと、どうやら良夫の方が浮気だったらしい。  相手は劇団の主宰者で、いい歳したおじさんだったが、いわゆる不倫の末、二人は駆け落ちしてしまったのだ。  全くどんなドラマの演出なんだよ!(良夫心の叫び)     良夫に突如降りかかった「失恋」「劇団の解散」「人生の転機」 1ミリも違う人生を考えていなかった良夫に、嵐に飲み込まれたような悲劇から逃れる術はなかった。  絶縁状態で家を飛び出した時から、姉の幸代だけが良夫に救いの手を差し伸べてくれた。災難に打ちひしがれ、路頭に迷っていた時「何でも屋」を一緒にやって欲しいと姉から頭を下げられたのだ。  父親は姉に仕事の全てを引き継ぐと、祖父の介護の為に夫婦で地方へ引っ越した後だったこともある。良夫は、姉を助けるべく「何でも屋」の仕事を始めたのだ。  提携を結んでいる家政婦紹介所から応援の依頼が入る。 良夫の数々のバイト経験が役に立った。料理や掃除のコツを掴んでいる。  レンタル彼氏から、犬の散歩、探偵まがいのことも。法に触れない内容で依頼されればなんでもする。  フラッシュモブの依頼には、元劇団員に声を掛け、舞台さながらの演出で成功を納め依頼主に喜んでもらった事もある。  今、良夫は、この仕事にやりがいを感じている。
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