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コンビニの買い物カゴを手に、二人で適当に会話を交わしながら酒を中に入れていく。
結構楽しい…
思えば、誰かと一緒に買い物をするのって何年振りだろう。
ざっと考えて…高校生以来かもしれない
「あっ、おにぎり旨そう。なぁ、しゃけ買っていい?」
「…いいんじゃないですか。三旅さんの金ですし」
「それも、そうなんだけどさ…じゃあ唐揚げもシェアしようぜ」
目を向けたホットスナックのコーナーで、唐揚げの隣に置かれた2本の串に刺さった、極太のソーセージが見えた。
「…フランクフルトも旨そうだな」
「俺の前であれをしゃぶる気ですか…?」
「え?いいだろ別に。デカイし、一緒に分けようぜ。先っぽの方、先に食べていい?」
「っ…切ったらいいんじゃないですか。半分に」
「んー、おっきいの口で感じたいじゃん」
ゴッッ!っと鈍く低い音が響き驚いて辻筱を見上げると、何故か隣の壁に頭をぶつけたまま固まっている。
何があったのか分からず、一瞬こっちまで動きを止めた。
「うをっ…!ど、どうした辻筱!大丈夫か?疲れてんのか?」
「……すみません。1本全部あげるんで、黙っててもらっていいですか」
「へ?え、あ…ありがとう?」
辻筱は短い溜め息を吐いて踵を返した。背をこちらに向けたまま一瞥をくれる。
「欲しい物あるんで…先にレジ済ませといて下さい」
「ん…分かった…」
なんか…また、怖い顔してたな。
俺、怒らせるようなこと言っただろうか…
…ちょっと、話し掛け過ぎててウザかったか?黙ってろって言ってたし…気を付けよう。
…てか、欲しい物あるんだったら一緒に買っちゃえばいいじゃん。
それともなんだ?
辻筱が人に知られたくない物とか…?
…一度そんなことを思ってしまうと、気になって仕方がない。
あまり…というか、全く自分のことは話さない奴だから…
実は玩具菓子を集める趣味があったりしたら面白いなぁ…
こっそり後を追い掛けると、距離をとって商品棚の物陰からその横顔を見詰めた。
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