令和20年 回想 須磨法太郎②

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令和20年 回想 須磨法太郎②

令和10年の赤田かがわ首相が制定したインターネットの免許制度。 その中で免許の取得は基本的に座学と面接になっている。 けれど、問題となったのは違反行為があった場合、どうやって免許を剥奪するかということだった。 いちいち警察を動かすのはコストがかかりすぎる。 罰金刑では金さえ払えばいいという風潮ができる。 そこで考案されたのが、ポイント制度だった。 簡単に言うと、ネットでの書き込みに対していいねの数が多いとポイントが加算される。 通報などが多かったり違法な動画や書き込みがあればポイントが減算される。 免許ごとに毎月決まったポイントを支払わなければならず、払えない場合には自動的に免許が剥奪される。 つまり、過去でいうと荒しや炎上商法、違法アップロードなどすればポイント減算で動画配信などができなくなってしまうのだ。 もちろん、特に悪質な物に関しては刑事事件として起訴されたりもする。 インターネットで悪事をする人間からはインターネットを取り上げてしまうのが一番の罰と言うことだ。 けれど、個人の小規模な物まで精査し、取り締まることはできない。 なので、そういった物に関しては多数決制度がとられる。 違法なアップロードとして通報された物に関して、免許取得者に無作為に合法か、違法かのアンケートが送られる。 その結果、合法が多ければ合法、違法が多ければ違法となる。 勿論これも、絶対ではなく権利者が法廷に訴えれば、違法となる場合もある。 けれど、小規模な物に関してはこの多数決はかなり有効だった。 軽い気持ちでアップロードした人間が、みんなが悪いというなら諦める場合もあるし、ポイント減算を危惧して行動を控えることも多くあった。また、多数決をする場において、投票者が遊び半分で投票しないように多数派に入れた場合はポイントが加算される仕組みとなっている。 さすがに、少数派だからポイント減算ということはないが、ポイントをゲットのチャンスを遊びのために捨てる人間はそうそういない。 結果として、インターネットの秩序を守るのに、免許制、ポイント制、多数決制の3制はある程度機能していた。 そして、ポイント減算による免許の剥奪。 中でも、一切のインターネットに関するアウトプットを禁じられる厳罰が黒アカウント、通称黒アカと呼ばれる物だ。 そのアカウントの持ち主は自身でネットに書き込みやアップロードができないだけではなく、その持ち主の声や姿が映った映像そのものが削除の対象となる。 これは、炎上商法で名をあげた人間が他の配信者の動画に出演するのを避ける目的だった。 また、そういった人間でも生活のためにスマホは使わざるを得ない。 そのために、機能を著しく制限したスマホが通称黒スマホとよばれるものである。 つまり、黒アカで黒スマホの礼人は、過去にかなり酷い違反行為を犯した人間であると同時に、礼人の姿が映った動画は、即削除対象となるということだった。
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