2人が本棚に入れています
本棚に追加
令和20~30年 回想 多部千夜 旧姓 風池千夜②
さて、このように千夜は礼人のことを当時嫌っていたわけだが、結果的に結婚しているわけで。
千夜から礼人への感情が反転するイベントがあった。
しかし、それは劇的なものではなかった。
人の印象というものは、見る角度によってがらりと変わる。
例えば、先程千夜は、異端の技術で自分のコミュニティに入り込んできたと礼人を評した。
けれど、礼人からするとたまたま行った会合で、そこの人に相談を受けたから恩師の顔を潰さないように、自分のできる範囲で答えていたに過ぎない。
特に取り入ろうと考えたわけでなければ、商店街の経営を改革してやろうとしたわけもない。
商店街の人間からすると、礼人は自分たちの知りたい知識を丁寧に教えてくれる使えるよそ者の坊主だった。
使える者なら身内へと取り込んでしまいたい。
よそ者を身内に取り込むのに簡単なのは、所帯を持たせてしまうことだ。
ちょうどいいことに、地域に根ざした同年代の女性が商店街にはいた。
ということで、千夜と礼人の見合いがセッティングされた。
最初のコメントを投稿しよう!