第4話 縁結びの神様

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 そうだろうな。  千鶴さんは失くしたものを探すのは得意かもしれないけど、こういった謎解き要素が強いものにはあまり関わってきていない。  しかも時間も限られているのであれば、依頼を完遂できるかわからないというのは本音だろう。  千鶴さんは依頼に対して、無理なものは無理とはっきり言える人だ。  それは自分の能力を客観的に判断することができるからであって、それを相手にもちゃんと伝えて、合意が得られなければ申し出を断る選択もする。 「それは重々承知です。こちらとしても無茶を押し付けることはできません。実際に何かがあるかどうかもわかりませんから」 「それでしたら、お引き受けいたします」 「あ、ありがとうございます!」 「では、この地図はしばらくお借りします。少し境内を見させてもらっていいですか」 「もちろんです。我々はなにかお手伝いできることはありますか」 「そのときはこちらからお声かけします。お仕事もあるでしょうから」 「わかりました。私たちはここか社務所にいますので、入用とあればそちらに」  それだけ話して千鶴さんは外に出た。  僕は展開の速さについていくのが精一杯で、千鶴さんの後を追うように外に出た。
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