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自分が不幸だと思っていても他人からはそうは見えない。
これは確かになさそうだ。
あるとしたら、自分よりかはマシ、という不幸の比べっこくらいか。
この場合はどちらも不幸であることに変わりはない。
他人から見て不幸でも自分にとっては幸せ。
これは価値観の違いで認められなくはないだろうけど、まぁ例外として片づけてもいいだろう。さっきの感度の話と同じか。
「不幸なことがあっても、それをバネにして成長することはできるから、不幸なことが全面的にいけないことだというわけでもないけどね」
「それは、残念ながら幸せもそうですよね。急転直下のように不幸になることもあるでしょうし」
「そうだね。だからずっと、幸せであり続けることも、不幸であり続けることも難しいと思うんだ」
さっきから千鶴さんの言うこと一つ一つの理解はできる。
ただ、やはりこのひとりごとの着地点が全く見えてこない。
峰岸さんの表情は硬いままだが、真剣に話を聞いているように見えた。
「そんなわけで、ひとまずここでは、不幸でないのであれば、それはもう幸せって言えることにするよ」
なるほど、そういうことか。
幸せとは何かという定義は難しいから、少なくとも不幸でないことを幸せと呼ぶことにする。
千鶴さんらしい、少しずつ考える範囲を狭めていく方法だ。
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