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「蓮くん、もうちょっと待ってね。これを終わらせたら休憩にするからさ」
僕が暇を持て余していることは筒抜けだったようだ。
勤務態度に問題ありだろうか。
「それなら、コーヒーを用意しますね」
僕ができることといえばそれくらいだ。
今回の休憩は何かしらのゲームに発展するのだろうか。たまには僕のほうからゲームを提供してみてもいいのだろうか。
炊事場に向かい、コーヒーを淹れる。
新年度を迎えるにあたり、コーヒー以外の飲み物を用意してみようかな。千鶴さんが季節にあわせて紅茶のフレーバーを変えているように。
そんなことを考えながらいつもよりゆっくりとコーヒーの準備をした。
コーヒーの香りで千鶴さんを急かしたくない。僕はこういうところをちゃんと弁えているのだ。
「あっ、いい香り。よーし、もうちょっとだから、すぐに終わらせるよ」
僕の心遣いは空振りに終わった。
そんな、僕が淹れたコーヒーのために仕事を雑にしないでくださいよ。
「はい、終わり! 蓮くん、おまたせー」
千鶴さんの「もうちょっと」は本当にもうちょっとだった。
千鶴さんはこういう程度を表す言葉を適切に使ってくれる。
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